蛇谷 りえ / JATANI RIE

あたまの中

デスクトップがいろんなデータの欠片でぐちゃぐちゃしてるように、あたまの中がぐちゃぐちゃしている。こぼれないように、そーっと歩いてみたり、話し声が小さくなったり、動きが繊細になる。大きな感動とかしちゃうと、小さい雑務の欠片が飛び去ってしまうので、こんなときはおとなしくしてる方が集中できる。でもこういうときに見る夢は、大抵なにかに追いかけられるので、あまり寝るのは楽しくない。机の上を紙もの、本もの、小物と整理をして格好つけてみるが、リフレッシュになるわけもなく、おまけに長年つれそったノートパソコンで気分を変えようとバージョンアップしたばっかりに、動きが鈍くなってしまって、ダウングレードするのに、もうかれこれ6時間ぐらいの大手術をしている。おかげで、やらないといけなかった細々とした業務が、もう一つのimacによって終わりを迎え、すっきりしてきたところで、こっちのノートパソコンの中のデータもごっそりすっきりさせてしまおうかな、と諦めがつき、リセットボタンを押した。そのときimacで読み込んでいたベートベンのCDが読み込み完了したのか音楽が再生され、ジャーンとピアノの音が鳴り響き、実に優雅な深夜となった。ベートベンの曲はお腹いっぱいな気持ちになれるから、たとえ一人ぼっちでも、お腹が空いていても、貧しい気持ちにならないのがすごい。何回も繰り返されるフレーズや噛みしめるような間は、まるで「てんどん」あるいは「振り」のようで笑えてくる。

2015年12月01日 BLOG