蛇谷 りえ / JATANI RIE

壁ぬれた。

間に合うのか、不安にかられながらも、手を動かすしかない。と早起きして現場へいって、いざペンキ塗りをする。マスキングしてブルーシート敷いて。友達に借りた道具をつかむ。水の具合は、どれぐらいだっけな、と思い出しつつ。おおちゃくして濃いめにつくったら、道具の滑りが悪いことがわかって、水を増やす。ぬりやすい。何度も塗り重ねるのがいいから、なるべく均等に、跡がついたら意外と残るのでクレープの生地みたいに、なめらかに。体が道具のようになってきたら、頭の中にいろんな考え事が浮かんでくる。浮かぶ、のが本当にぴったり。体が動いてるせいか、頭も回転して、名案がすいすい出てくる。一回塗り終わって待ってる間にほかのところを塗る。今度は壁の質感がちょっと違うけど、道具の新たな動きをあみだして、作業効率がアップする。音楽を流す。いろいろCDを聞いたので、久しぶりにジョンレノンを流すと、なんかマッチして、やる気が出る。天井も試みる。脚立と天井の距離感をはかりながら、自分のちょうどよさを探す。慣れてきたら、横着するから、気をつけてみたり、飽きてきたら、友達の言葉を思い出して、休憩がてらコンビニまで歩いて、ちょっとしたお菓子を買って、自分で背中を押す。気がついたら、1日中一人で作業をしていた。小宇宙のような、いいひとりの時間だったな。壁は無事にぬれて、天井もぬれた。そしたら床が気になってきた。こうやって家が作られていくらしい。

2019年10月21日 BLOG

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