蛇谷 りえ / JATANI RIE

花を飾った

今日、買い物をするのに歩いていたら、いつも目を向けないところで、気になって目を向けると猫が死んでいた。しまねこ。車にひかれたのか、口から血が出てる。目はもう、半開きで、この世にいないことは一目でわかった。道路の端っこにいたので、これ以上、痛い思いをすることはないと思う。埋めてあげようか、と一瞬よぎった。でも、私はその猫を、触れなかった。足が一歩も近づけなかって、それ以上見るのもダメだった。なんで、こんなに触れないのか、わからない。怖いのもあるけど、死に対して、まだどっかかけ離れたところにあると思ってるのかもしれない。

これで、だれかもう一人いたら、相談したと思う。埋めてあげるにも、どこが適してるのか、スコップもない。雨だし。と、いろんな言い訳を、もう一人いたら問題解決できたのに、私一人では、言い訳に負けた。なんていうか、は!っと大きな声だけ出してた。人間のひいた声ってこんな声なんだな、って思った。あの人だったらきっとすかさず埋めると思った。

すたこら買い物に向かったずるい私は、帰り道、同じ道を通らなかった。ああ、ずるい人間だな、と戒めにお花を買った。せめてもの猫の死を想って、猫の似合うお花を選んで、家に飾った。

 

2011年09月03日 BLOG