蛇谷 りえ / JATANI RIE

鳥取の話

10月の3と8がつく日に開催する三八市というお祭りの準備を手伝っている。普段からお世話になってる人たちへの感謝の気持ちと、あたらしく出会う町の人に挨拶も兼ねて。駅前にある喫茶店はいつも気になっていたけど、なかなか入りにくかった。でも、今回三八市で協力してもらうために、岡山から来たゲストを連れておかあさんと挨拶にいくと、そこは見た目よりも奥行きの広いゆったりとした空間だった。ソファが各テーブルごとにあって、カウンターもあって、ケーキはオリジナル。打ち合わせにいったのに、モンブランをごちそうになる。雑誌の棚をみると、新聞紙と、shi-baという犬の雑誌がある。なんと、ここのご主人は山陰柴犬を育成する会の方だとか。もうひとりは、駅前近くの食堂のご主人で、少しお若い。先輩、後輩の仲らしく、ときおり配慮する視線が上品。お二人からこの町の昔の話を聞く。戦前から、この町は中心地で、みんなが船でここにやってきて買い物をしていたこと。駅前すぐは、船着き場で、旅館の人も、町の人も皆が歓迎していたこと。しじみや、うなぎ、小さな魚がとれて、今日食べる分を池にとりにいったこと。池、池からつながる川、家、商店街、すべてが密接に関わっていたこと。いまも。

去年から、船にまつわる話や町の話が多いのは、なんだろう。私は気球の存在に憧れたことがあるけど、どんぶらこどんぶらこと、私自身が移動して、この町に着いたような、そんな気持ちでいる。いつか、遠くにいるみんながこの町に来ることを町の人たちみんなで歓迎できる日が待ち遠しくて仕方がないと思った。

2011年09月22日 BLOG