蛇谷 りえ / JATANI RIE

どこからかけばいいのやら。

女神輿を担ぎました。神輿を担いだのは生まれて初めてで、知らない町でひょんなところから神輿を担ぐことになった。黒いスパッツがあれば良いよ、といわれて、次の日約束した場所で待つ。もしかしたらドタキャンとかあるかな、と内心ドキドキしながら待ってると、昨夜会ったお姉さんが来て、こっちこっちと招かれる。行ってみると、通りかかったことのある公民館の中に入っていくと、女の人の声が聞こえる。ドキドキしながら、入っていくと、いつものおかあさんが2人で汗かきながら、さらしを一人一人巻いていく。何をしていいかわからず、小学校の身体測定みたいに服を脱いでさらしを巻かれるのを待つ。

濡らして冷たいさらしをぐるぐるに身体に巻かれて苦しいのと、シャキっとするのとが合わさる。清めるためにお酒を飲んだり、長丁場だからごはんを少し食べたり。自己紹介をしたら、大阪に馴染みのある人がいて少し安心。さらに話をしていると芸大卒の人もいて、話が盛り上がる。おしゃべりもほどほどに、いざ、神輿のある神社へ移動。男の人たちも衣装に着替える。よく見たら見知った顔がちらほら。白装束はみんなかっこいい。私は、なんとも言えない緊張感を抱いてた。

神輿の中に神様を運ぶところは見てはいけないらしいけど、気になって気になってガン見する。神輿は想像以上に重たくて、身体が緊張する。たどたどしくも、倒れないようにキープしながら、町を歩く。一軒一軒、家の前にとまっては、「○○さんに〜ちょうさいだ!ちょうさいだ!」と「わっしょいわっしょい」的なかけ声を出す。ずーっと「ちょうさいだちょうさいだ」と声をあげるもんだから、気持ちがどんどんハイになって行く感じがわかり、どこかで怖くなって制御しようとする。

休憩所がいくつかあって、お酒をのんだり、ごはんをつまんだりする。途中メンバー交代しながらも12時から17時まで神輿を担いでひたすらに歩く。この町の地区は広い。以前通ったことある道もあれば、知らない道もたくさんあって、家の中から人が出てきて神輿に拝みあいさつをする。ここにはこんな人が、ここにはあんな人が。少しずつ、町の輪郭がみえてくる。

この神輿のはじまったきっかけや、この町の歴史が、町を歩いていると随所に感じ取れて、それは文字で語り尽くせない。もっと大きな何かになって身体に入ってくる。私は、この町にようやく入れた気持ちだった。

2011年10月12日 BLOG