蛇谷 りえ / JATANI RIE

ミシンをいただく

鳥取のおかあさんと話をしてて、ミシンがたくさんあるから一つ譲ってもらう。JUKIのミシン。その名の通り、重たい。電気だけど、電子じゃないので、足下でエンジンをかけるように、ミシンはぐいーん、と機械にしては静かな音を出して動き出す。持ち主のおかあさんは、なんでも自分で修理したり、つくったりするのが得意な方なので、いまでも、不具合がおきたら自分で修理ができる。

譲ってくれたミシンが使えるかどうか、いっしょにチェックする。チェックしてる途中も、ミシンのあちこちに不具合がおきるけど、これは油をさせば直る、とか、ここのねじをゆるめば大丈夫とか、ミシンの構造をしってるから、修理ができる。今の電子ミシンはボタンひとつでなんでもできるけど、自分たちでは直せない。結局買い替えたりする。それは自分たちの知識がないことと、知識があっても直す意識がないこともわかる。直すにも高かったりするし。譲ってもらったミシンは、大事に使っていけるように、私も使いながら構造を覚えていこうと思う。こうみえて、私は技術が好きでした。(正常に稼働したことはあまりないけど)

おかあさんは昔から集めてきた布や糸、毛糸、裁縫小道具をたくさんもっていて、いまでもたまにちょこちょこ作る。一人でつくると寝ることも忘れるらしい。気持ちはとてもわかる。きれいな糸や、布がたくさんあって、以前大型スーパーに毛糸を買いにいったのを少し後悔した。といっても、おかあさんの大事に集めてきた大切なものなので、安易にください。とは言えないけど、こういう大事に残ってきたものを、いい案配に、未来に連れていけないかなあ。と考える。ミシンもあるし、布もたくさんある。かわいいバックでも作ろう、といっても、それがお金に交換されることがおかあさんの喜びに繋がるのかというと、きっとそうじゃないだろうなあ。これはこのまちの、一人の一つの話であって、こんな感じで、このまちにはまだまだたくさんのいいものがあって、それを今、生活をしながら身体に馴染ませて吸収して、これらのていねいなアウトプットを考えてる。

2011年11月24日 BLOG