竿竹屋
家の植物の茂りが強くなってきたので、なんとかしないとなあ。と去年のいまごろに草刈りを手伝ってもらったのを思い出しながら、重たい腰をついにあげた。草刈機を借りてきてたので、朝から始める。大きい音すぎたのか、近所のばあちゃんが見にくる。家の中にいた犬が何事かと突進してくるので、外につないで、わたしを見守る。となりの家の庭の笹が高いとこまでのびて、こちらの家まで覆ってきてたのが気になってたので草刈機で一気に刈ろうと試みるが、刃がたたない。ノコギリの方がはやいんじゃないかと思いつき、草刈機をやめて、ノコギリの横にあった剪定ハサミで試みると、チョッキンといい感じ。チョキチョキ切っていく。
笹は根っこがすごくて、引っこぬけないので、ひたすら光合成をさせないように根元を切る。掌サイズのハサミなので、笹に近づかないと届かない。根元まで視線を近づけるが、ハチがいたらどうしよう。猫が死んでたらどうしよう。と謎に見えないものに怯えてきて腰がひける。それぐらい笹藪で先が見えない感じのやつ。ふと「勝手に妄想してびびらない!目をつぶらない!」と師範に言われたことを思い出し、わたしがビビってる理由を考える。アシナガバチが以前から家にたびたび巣をつくっていて、わたしが見つけて巣を壊しては、だいたい藪の中に飛んでいくのをみていること。猫は、夜にニャーニャーと声が聞こえること。だからこれは妄想じゃないけど、あるかどうかしっかりみようと、チョキチョキと笹を切る。蜂の巣がないか警戒しながら切った笹を移動させる。そしたら、あじさいの株や薔薇が出てきた。調子にのってたら、蜂の巣がやっぱりあって、超でっかいアシナガバチが一匹、巣から出てきて、あわてる。ちいさい巣を池の中におとすとハチだけ出てきて、あじさいの周りでパトロールしてる。わたしは青い服をきてたので、気づかれないのか、こっちにはくる様子がなかったので、なるべく目があわないようにして笹を続けて切る。犬はヘラヘラこっちを見てる。そしたら、二匹目のハチがきて、ブンブン飛び回り、二匹でどっかに飛んでいった。そのあとも、でっかいバッタが笹にくっついてたり、ダンゴムシが高いところまでのぼってたり、落ち着かないまま切っていった。草刈機の大きな音もガソリンの匂いもないので長閑。
こんなにも長くのびた堅い笹はいったいどうしたもんか、と山積みの笹をみて考える。割と丈夫だし、まっすぐだし、軽いし、長い。きっと何かになるはずだけどなんだろう。竿竹だ。竿竹屋になれる。天然竿竹取り放題。釣竿にもなるし、物干し材にもなる。竿竹がお金だったらお金持ちだなあ。と妄想はひろがり、全部刈るのはやめとくことにして、必要なところだけ刈って、あとは育てることにした。竿竹が欲しい人はお求めください。あ、もちろん無料です。
2020年05月18日 BLOG