建築
サイネンショーの窯焼きに参加した。穴窯という奥にずーっとトンネルみたいに長くて細いところに、器を並べていく。私はその作業はせずに、仮設のキッチンをつくって、十数人分のご飯を昼夜と3日間作り続けた。火付けのとき、500度のとき、1300度のときを目の当たりして、ゴーゴーと温度が高くなっていく火の色や音を聞いた。1300度は、常に1300度にはならなくて、1250〜1270度を行き来しながら、薪をたくさん入れて、空気を送り込んで、1300度を目指す。まるでパチンコや。とほかの例えを言ってみるが、なかなかピンとこず。まるでギャンブルや。がしっくりくる。職人からすれば、ギャンブルでもなく、ロジックがあると思うが、カラクリがまったくわからない私にはそう見えた。
夜中の火番を終えて、フラフラしながら温泉にはいり観光がてら、とある自宅にお邪魔する。倉庫付きの山を買って自分で改造したお家。見た目は倉庫だけど、中に入ると建築だった。太陽の光がどこから差し込むのが綺麗か、考えられて一箇所だけ半透明の屋根になっていて、その光がとなりの部屋まで差し込むようにガラス戸になってる。どれもそのへんにある道具や棚を、ひと工夫しただけでちょうどいい塩梅に配置されていて、DIYというか建築だった。隣同士の部屋に小さい窓があって物が行き来できるようになっていて、家の中なのに外のような、外なのに安心する空間。かろうじて、囲まれているのはシンプルな壁だけで、風も光も自由に入り込んでいた。あの感じがとてもよかったので、私もがんばって家と向き合おうと思った。目標は建築。もっとより良くつくろう。
2021年05月26日 BLOG