蛇谷 りえ / JATANI RIE

ピンクの夕焼けを、高いところから眺めた。ピンクの空は、下の方は赤くて、上の方へいくほど青い。どこまでも色がちがった。ああいう色のワンピースがあったら、すてきだろうな。遠くの方に山があって、その向こうにさらに山があって、奥と手前で色がちがう。山には若葉が生えてきて、あざやかな黄緑が目立つ。黄緑の服があったら着たいな。海は手前は透明にちかい水色、奥はコバルトブルー。コバルトブルーは、絵の具になるとぜんぜんちがう。ちがうというか、使い方がむずかしい。肉眼でみるとあんなにきれいな色をしてるのに、絵の具になるとああにはならない。近いのに遠い、とても切ない色。コバルトブルーのワンピースもいいねえ。カメレオンみたいで。ぼうしも、メガネも、スカーフも、パンプスも、全身コバルトブルーの格好して、海を歩くと自分も海になったみたいでいいでしょ?となりには、白い犬が海によろこんで駆け回ってるの。雲の向こうから月がこっちをのぞいてる。しーんとしてると、自分の体もしーんとして、風景の一部になったよう。ばれないように呼吸を小さくする。

2016年05月19日 BLOG