一寸先は闇
目の病いにかかった少女が助手席で言った。見えていたときの記憶があるから、また見えるようになりたくて、見ようとするんだけど、見ようとすればするほど、怪我ばかりしたんです。だけど、もう見えないことをありのまま受け入れてみたら、全然違う風景がそこにあったの。いままで目でみてたと思っていたけど、実は目ではなくて、手足が覚えていたり、足先がすごい敏感になって、小さな段差にも気づいたり。この杖がすごい便利だったり。勇気をふりしぼって尋ねてみたら、みんな優しいし。見えないこの病気も慣れてみると楽しいですよ。トンネルはまだまだ終わらなくて、運転しているわたしは不安がつもるが、少女の目はキラキラしていた。
2016年05月20日 BLOG