風穴屋
風が入る穴をあけましょうよ。窓でもいいです。自分の中のどよんとした空気が外に黙って出て行くような。そんな穴をあけましょうよ。真っ黒くろすけのように、夜になったらざわざわ動いて、朝の光とともに消えていくイメージでもいいですね。どちらにしても、静かに消えていくのがいいかと。自分の思っていることなんて、ころころ変わるものだし、他人からしたらどうでもいい。でも、好きな人がいま何を思っているのかを考えたり、知れるのは楽しいものですね。あれは不思議ですよね。でも、人間は往々にころころ変わるから、聞いてもやっぱり仕方がないんですけどね。どんな穴にしましょうか?額縁みたいなのもいいですねえ。フレームっていうんですか、大きければ大きいほどワクワクしますよね。その境目は一体どこかなーって。虹のはしっこを追いかける感じに似ていますよね。
一人もいいけど、だれかとね、窓をあけて、同じ風景をいっしょにみれるようにしたらどうかなーって思うんです。窓って一人じゃなくて、二人でも見れるから。こっちじゃなくて、彼方へ。もちろん、見ているものも異なるんですけどね。それはまあ、これを見ろ!っておしつけても面白くないから、その向こう側に流れてる空気みたいなものや、そこに既にあったり、なかったところから立ち現れたものを、身体ぜんぶで味わえたらなーって思うんです。そのためにね、仕事してるようなもんなんです。わたしも、それを誰かと目撃したくて。媒体はなんでもいいんです。大事なことは向こう側にあるから。
2016年05月30日 BLOG