西から東へ
車を走らせる。住所を頼りに、ナビどおりに進める。いつも通る道からあるとき、外れてどんどん知らない景色になっていく。わくわくして、右と左をきょろきょろする。右は壊れそうな小屋がある。左は覆い茂った山が見える。ネギ畑がある、あの葉っぱはなんだろう。あ、たしかあれはワサビだ。大きい鳥が空高く飛んでる。渋めのビルディング。廃墟じゃないみたい。あの池はたしか冬にもみた。ため池だったのか。ここも通ったことある。雪が積もっていたころに。車の中に聞こえてくる音も、セミの音から、鳥の音に変わった。きょろきょろしながら、一人で運転する。ああ、ここにもう一人いれば!と思うけど、運転手がいたら、きっとその人はよそ見できないし、意外と同じものを見れなかったりするし、助手席にいたら、わたしは運転に緊張してきょろきょろできないから、残念ながらこれは一人で楽しむのがいいのかもしれない。考えてみれば、いまの仕事は移動ばかりだ、鳥の巣にえさをあげたり、ピーチクパーチク話をして回っていて、忙しそうな親鳥みたいだ。あっちにいったり、こっちにいったり。途中で休憩したり、道草くったり、お昼寝したり、夜の空をみて、今日の雲は筆で描いたみたいな空だなーって眺めたり、きっと親鳥もこの移動の間が好きなんじゃないかな。
2016年08月18日 BLOG