蛇谷 りえ / JATANI RIE

惑星

居心地のよかったはずの星が、気が付いたらあべこべの星になっていた。いつ、だれがこんなことにしたのか、原因を追求したいところだが、解明したところで、したところで。それを考えている間があったら、他の星をみてみよう。あっちの星とむこうの星は悩んでいることが似ているけど、どこか違う。他の星のやり方はこうしているよ、と言いたくなるけど、何をしないか。について考えているので、なるべく何もしない。頭の中もそう。自分の頭の中で話すことを用意していても、一人一人で話をすると、案外、用意していた言葉じゃない言葉でスルッと相手の体をとおっていく瞬間がある。一人一人の頭も星みたいになってるのな。相手がなんでそう考えるのか、について、考えるのはもうやめた(い)。そういう人だから。そういう人に自分がいっしょにいて居心地がいいのかどうかだけを考えたら答えはすぐに見つかる。そんで居心地のいい星をみつけたら、気持ちの良いまま、自分の家にかえって、うっとりしながらお風呂にはいって、ベッドで休む。やるべきことをご機嫌にやるだけだ。あっちでたくさん元気もらったしがんばろ。わたしのあそびにいける星、いろいろあってよかったな。とか。今度いったときは、わたしもお返しできるぐらいのことを自分の家でやろう。とか、ふいっと違うこと考える作戦。ひとつの星に求めたところで、しょうがないことの方が多い。突然訪れる、こころがざわざわするのは極力避けたい。昔よく見た夢の、固い音と鈍い音がぐちゃぐちゃと水に鳴らすみたいに、こころがぎゅっとなるから。もっと気をぬいて、自分にひびく音だけをきこえるようなゆっくりでありたい。昔の話を聞くと、忘れてしまったわ。っていうセリフが楽しくて、つい質問をしてしまう。わたしも忘れてしまったわ。っていつか言えるようになりたい。忘れたことを思い出すことはあるんだろうか。それは辛いこともあるけど、豊かだなって思える人になっていたらいいなって思う。いまは、その何十年後の忘れていく自分のための豊かな時間なんだ。

2017年02月10日 BLOG