解放区
夜の散歩が楽しかったので、今度は夕刻、空の大きなバックをもって、買いものを目的に歩いて町へ向かう。いつも車で通るところはまだ歩道がなくて、道路を歩く。人が歩いていても、車は迷惑そうにしない。歩道だった場所は除雪車の雪も加わって、肩ぐらいの土手になっていて、土手をズボズボ埋まりながら歩く人と目があう。道路を歩くと早いんじゃないかと声が聞こえる。前にも道路を歩く人たちがちらほら見える。パトカーが全然追いついてないのか、ウィンカーを出している車が1km以内に何台か目に止まり、人だかりがある。大きめの交差点では、車が立ち往生して、相撲部屋の寮の子たちなのか、コーチ的な男性と堅いのいい少年たちがスコップもって、雪を掘る。そのまま、アクセル踏んで!と大きな声を出して見送り、少年たちが次の車、どうぞ〜と道路を仕切っている。道路をぐんぐん歩くと川が見えて、見たことあるマンションが覗いていたので、そちらの方へ歩いていく。川辺は人が歩けるようになっているけど、車はまだ厳しそう。アーケードのない通りに出たら、自宅の前を雪かきする人たちが向かい合わせて見える。除雪車はまだ来てなさそう。自分の通りだけでも、自分とご近所さんのために、とえっさほいさ回復を急ぐ。空き家の前は人気がない。段取りのいい家は雪の壁が綺麗につくられてる。県庁と駅をつなぐ通りはアーケードまで来くると、雪がない。除雪車も通っていてわだちもない。定刻を過ぎた頃、綺麗なコートと革靴を履いて、県庁から駅へ早足で歩く人たち。自宅にかえって雪かきするんだろう。馴染みのある店に立ち寄る。エアコンが効かないせいか、ニット帽に全身ダウンでお出迎え。3日も家にいると飽きてきたって人が店にくるよ。どうしようもないよね。と笑って過ごす。自分の店へ到着して、いつもの顔ぶれに安心する。家で過ごしていたこと、考えていたことを話すと爆笑されて、オセロしましょう。って提案される。静かな店の端っこで、オセロしながら、あれこれくだらない話をして過ごす。冷え込まないうちに歩いて帰る。ここは現在解放区。不便になったとき、人は人に出会えるんだな。
2017年02月14日 BLOG