モグラ
夏の終わり。あるモグラは一人で考えた。ぼくはやっぱりヒトは信用ならねえと。頭と心と体がバラバラでまったく身の丈をわかってないヒトは。いくらなんでもアホすぎる。言ってもわかりっこないし。でも、またあるヒトは頭と心と体がいっしょだから、信用できる気がする。いや、信用できるかどうかはおいといたとしても、ある日突然、細い指でギターを奏でたり、綺麗な歌声を出したり、美味しい料理がつくれるから。モグラにできないことができるので尊敬できるから、そういうヒトは嫌いじゃないし、今日はたまたまだけど、一緒にいてよかったなって思った。一人で土の中にいたら、カエルの声もこおろぎの鳴き声も聴こえるし、虫も美味しい。それはそれで満足してるけど、ヒトの奏でる音楽というものは、土の中にはないから。ヒトとつながりがあってよかった。ヒトは観察してるとおもしろいからじっと見てるといい。モグラとは違う思考をしてる。犬も違うけど、犬はわかりやすい。モグラがテレビを見てるとこそこそ静かにやってきて、側にきてごろんと座るから。ああ、一緒に見たいってことね。って迎え入れるだけでいい。犬も犬であることをわかってるからいい。モグラはピンクの花のほかに、オレンジのラッパみたいな花も気になっていて、だらんと垂れてる感じが気に入っているが、名前がわからない。ミミズは目がないから、説明しようがなくて、でも、花の匂いをいっしょに嗅いだら何かわかるかもしれない。
2017年09月01日 BLOG