蛇谷 りえ / JATANI RIE

青春

大学生と仕事することがあって、これまでは、学生独特のノリとか、毎秒揺れてる感じとかに、そういうのにわたしは付き合えなくて、バッサバサに切ってきたけど、なんかあるとき、いや、今年の学生にかな、いや、付き合いが長くなったからかな、わたしがなんか変わったからかな、わかんないけど、チューニングができるようになって、向こうもわたしのことわかってきてて、彼らの繊細さに付き合えるようになった。それをひとくくりに青春といっていいのかはわからないけど、毎秒揺れて悩んでるようすを見ていて、笑えるようになった。職場のスタッフだと、悩む必要ないよ、ってスパッとそういう時間を取り上げてしまうんだけど、でも、大学生ってまたちょっとちがって、悩むのが仕事というか、悩んでやってみて、また悩んで、みたいな時間があるのが、すごい豊かでいいなって思う。呑気とか平和ともいい変えれるかもしれないけど、彼らなりに大事件なわけで、こういう時間って、働いたら、なんだ考える必要なかったなってわかったりするわけだけど、働かないからわかるこその揺れみたいなものとか、働かないから話せる口調とか、体つきとか、いろいろ、今しかない形を成してることに、儚い気持ちで眺めている。もちろん、年を重ねてもちがう揺れがあるし、悩みだってあるけど、社会に出る前の、あの感じは、誰も戻れないと思う。イベントのときに、彼ら彼女らにカメラを向けるんだけど、ああ、こういう服とか、化粧とか、全部、今しかないのかなあ。って切なくなっちゃった。

2018年08月14日 BLOG