確認
あの頃のはりねずみは、なんにも伝えようとしてなくて、口をつむっていたけど、身体は素直になにか惹かれるものに触ろうと必死だった。そんな言葉足らずなはりねずみを、うさぎは、口にしていない心の奥の方までを、ふわっと大きな毛布で包んで、はりねずみに安心を与えてくれていた。言葉を手にいれる前の、動物的な行為だった。うさぎはどこか遠くへいってしまい、ほかの動物たちにも、同じものを求めたけど、そううまくはいかなくて、あの安心感を諦めて、どんどん忘れていき、代わりになにかを伝えようと、がむしゃらに言葉を手に入れ始めた。言葉を手に入れても、伝わらないものがあることもわかった頃、うさぎと会った。すっかり忘れていたあの感覚は、身体に記憶されてて、触れたら思い出して、心の中で解凍されて、何が出てくるのか、すこしこわくなったけど、出てきたものはまだ生暖かくて、やわらかかったから、やさしく食べたとさ。
2019年01月29日 BLOG