蛇谷 りえ / JATANI RIE

間合い

年末年始にネタ番組をたくさん見た。漫才は二人でマイク一本で笑いを繰り広げる3分ぐらいの会話劇。リズムや音楽、動きも入ってくるので会話だけでもない。ネタだけ切り取られた動画はネットにたくさんあるけど、番組として見るのがたのしいのは、司会がいて、観客がいて、芸人たちがいて。ある時間の間、順番にネタを披露していくのだけど、その時間をどうおもしろくするかは、司会の腕も関係してるし、この流れでパンチラインを打つか、芸人のセンスとか。あと番組自体の構成など、テレビ番組そのものを満喫した。深夜番組のネタ番組は、とくに尖っていて、芸人のセンスが滲み出てみていて、ヒリヒリして楽しい。上手いやつ、器用なやつ、人間味だけのやつ、ぶつかり合うことで、その芸人の味みたいなものがわかって楽しい。あと、落語を見に行った。古典だけでなく、創作落語もあって。桂文枝の創作落語をはじめて見て感動した。一人で座布団の上で話す15分ぐらいの朗読劇。客席がたくさんある中で、食い入るように注目させ、話の中にすいこまれる。時間を忘れてあっという間やった。劇場を出たら、下っ端の落語家が笑顔で見送る。話しかける人もいればスタコラ通り過ぎる人もいる。またきてもらえるように劇場を守ってる人たちがいる。

ラジオやテレビの向こうにいる人を笑かす芸人もいて、劇場で笑かす芸人もいて、何にしても観客がいないと笑いはおきない。その観客との間合いの技術が、ほんまにすごいし。技術をみせびらかす人もいれば、隠す人もいて、開発する人も天然もいて、それを笑いとするかどうかは観客の反応も関係したりして。芸人はやっぱりかっこいいなあ。

 

 

2020年01月13日 BLOG