抽象する身体
昼間に温泉に入ろうと、慌てて開けたアルミサッシの扉。湯船の上の方にある窓から真っ白な光線が下の方まで降りてきていて、おもわず声が出た。UFOからなにかが出てきそうなくらいの光の束だった。他の人はどうやら見えてないらしく、虹を触るように、一人で光のもとへと近づいてみて、通過してみて、湯船につかって光の向こう側にいってみたりして、一通り楽しんだ。ふと、周囲を眺めていたら、みんな裸で、光によって肌の輪郭が光っていて、でも、温泉につかるから身体はだらけた姿勢で、たれさがった胸も、大きなおしりも、ぶよぶよのお腹も、やわらかそうな背中も、全部みればみるほど、それが何かわからなくなる。温泉に入る行為は、まっすぐとした姿勢でもないし、腰をまげてお風呂に浸かろうとしたり、身体を洗おうとするので、動物のようにも見える。表面的な衣服や化粧がないから、ニンゲンそのもので、どの身体も美しかった。
2016年02月14日 BLOG