蛇谷 りえ / JATANI RIE

気持ちを

松田聖子や山口百恵、中森明菜、原田知世など、女性歌手の音楽を聞き回していたときに、松田聖子がやたら「好きです」的なことを言うので、そんなに!?とがんばって松田聖子の心境になって想像してみたが、ぜんぜんピンとこなかった。と言う話を友達にしたら、そんな歌手は山ほどいるけど、そういう歌手はそういう恋をしてきた、もしくは共感する女子が多いんじゃないか、と意見があって、そりゃ時代も違うし、わからないのは仕方がないことだ。と妙になっとくをする。

でも、じゃあ、私たちの好きって気持ちを歌ってる曲なんてあるかなーと、いろいろ思い出してみたけれど、音楽には見つからず、マンガの登場人物で共感する人っていたね、と思い出す。そのシーンが、好きっていう気持ちなのかどうかは、言葉があってるのかはわからないけど、いっしょにいるとドキドキして、相手と違うことに気づくのがこわいから、何も言えなくて、発することもできなくて、ただただ同じ景色をいっしょに見ることができるのが嬉しい、あの感じ。何が食べたい?という質問は難問で、私が言ったものと相手が食べたいものが違うと怖いから、なんでもいいとか言っちゃうやつだ。こういうとき、言葉は邪魔をするので、しらけちゃうのがイヤで、だんまりしてしまうけど、だんまりしてても、わたしの気持ちを察してよ。的になるので、それも相手にとっては迷惑でやだなーと思いつつ、でも、やっぱりしらけるのやだなー。むずーい。

でもでも、「なんでもいい」わけじゃないって、ある程度の自分の好き嫌いとかわがままみたいなものもあることに残念ながら自分のことを受け入れてきてはいるもんだから、あのシーンみたいに、何も言えない。なんてことは、今はなくて、たとえドキドキしていようが、ぐっとこらえて、結構はっきり具体的に欲しいものが言えるようになったりもしちゃってる。ぜんぜんかわいくなーい。でも、すべては後々相手と自分がズレていくのを回避したいから、初めからはっきり言っておこうと気を配っているわけだ。THE先回りした配慮。でもズレなんて、この先、いっくらでも存在するならば、ずっとしらけないで、ドキドキするのも楽しそうだけど、どんどんめんどくさくなってしまうのかしらん。

めんどくさいって、手間がかかっていやだ、とか、わずらわしい、とかの意味らしいけど、そうだね。そういう気持ちもなったりしたときもあるね。はい。結構たくさん、自分の勝手でぽいっと投げてきたりもしましたね。はい。めんどくさくならないような暮らしができるようになれたら、聖子ちゃんみたいな気持ちにもなれるかなー。

2015年06月13日 BLOG